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あかりプロジェクトの考える自助グループとは

一般的に、自助(セルフヘルプ)グループとは、『生きて行く上で出会ういろんな困難や障壁に突き当たった人たちが、共通の課題を持つ人と出会い、仲間として、互いの気持ちや情報をわかちあう(共有する)場。また、わかちあいを通じて、仲間同士でつながりあい、 自分の苦悩を解き放っていく場』ととらえられています。

けれども、決して大げさなものではありません。
英会話を学び続けたい人が仲間を求めるように、バレーボールをしたい人がチームメンバーを必要とするように、何らかの困難を感じた人が、「同じ経験をした人に会ってみたい、話してみたい」と思うのは自然なこと。

その思いや要望を叶えることのできる手段のひとつが、共通の困難や課題を持つ人同士の集まり、自助(セルフヘルプ)グループといえるでしょう。

摂食障害の人の場合、確かに、共通点が「摂食障害」なのはちょっと変わっているのかもしれませんが、集まるのは普通の人間です(当たり前ですけど 笑)
『やってみたい』『参加してみたい』という思いが出てきたそのときに、サークル活動を始めたり、参加するような気持ちで取り組めばいいと思います。

 

自助グループと「学習会」って違うの?

摂食障害についての学習会のためのグループがあるとします。それを自助(セルフヘルプ)グループと呼べるでしょうか。
呼んでも法律に違反するわけじゃないので(笑)、皆が納得するならそう呼べちゃいます。けれども、今のところ広まっている自助グループの概念を考えると、学習会だけを行う集まりは自助グループとは位置づけしにくいかもしれません。

学習会では、学習内容についての「理解、習得、上達」も目的のひとつにされがちです。けれども、自助グループでは、そういったもの(結果や成果など)は目的とされないことが多いようです。摂食障害のグループで、回復すら目的としないグループも沢山あります。

自助(セルフヘルプ)グループでは、

 ・ 自分が感じることを、自分の言葉で話す。 
 ・ 他のメンバーが感じ、話すことを、そのまま聴く。

ことを大切にします。難しい決まりはありません。

ただ、メンバーの皆がそうしやすくするために、グループ運営の簡単なルールだけは必要です。

 

自助グループを安全な場にするルールは、「秘密を守る」「批判しない」「時間を分かち合う」こと

自分の感じることを、周りの人にありのままに話そうとするとき、「どんな本音を話しても、責められず、叱られず、批判されず、嫌われることもない」と思えたら、より話しやすくなるかもしれません。少なくとも、話しにくくなるということはないでしょう。

そのために、自助グループでは、以下のようなルールを設けるところが多いようです。

 ・ メンバーの上下関係を作らない
(そのために、代表すら置かないグループもあります。代表を置かない場合は、連絡先として、郵便局で私書箱を設けるなど工夫します)
 ・ 参加期間の長さを問わず、皆が対等なメンバーとしてお互いを尊重する。
 ・ 話されたことは外に勝手に持ち出さない(話した人を尊重し秘密を守る)。
 ・ 話されたことについて、判定したり評価したり非難したり否定したりしない。
 ・ お互いの時間を尊重しあい、時間配分を守って発言する

ただ、これらは理念としては理解できても、「メンバーの皆がそのようにできるようになるためには、具体的にはどうしたらいいのか」となると話は別かもしれません。

 例えば、上下関係を作らないことを皆が大切に思い賛同したとしても、「何に注意して、どのような方法を取れば、上下関係が出来なくなるのか」という具体的な方法にメンバーの皆で辿り着くには、試行錯誤が必要です。
多くのグループがさまざまな工夫を導入しています。それが各グループのカラーや個性につながっていると言えましょう。
安全で対等な運営のための工夫の例を、「自助グループをつくろう!」のページでもとりあげています。参考にお読みいただければと思います。

 

自助グループって、摂食障害の回復には不可欠なもの?

摂食障害や各種依存症の当事者には、医療機関や保健所などから自助グループが薦められることが非常に多いように感じます。
現実には、自助グループの運営やそこでの人間関係で疲れを感じる人もいます。グループの特性と自分の個性が合うとは限りません。また、どんなことでもするとなれば労力や時間を割かざるを得ません。さらに、自助グループを経ずに回復している人も、きっと大勢いらっしゃいます(筆者もそのひとりです)。
あかりプロジェクトでは、『自助グループは万能ではなく、回復に不可欠というわけでもない』と考えています。

同時に、現状で自助グループが薦められるのには、効果…という言葉はあまり使いたくないのですけれども…やそれなりの背景があることも理解できますし、大都市だけではなく、全国各地に自助グループができればと願ってもいます。

わたしたちは、摂食障害を持つ人が『楽になるために役立つ(かもしれない)方法』のひとつとして、この記事を用意しました。
自助グループに対して、どのような価値を見出すか、どのような意味付けをするのかは、立場(当事者、家族、治療者、支援者など)によっても、それぞれの人によっても違うことでしょう。

もし良かったら、体験談をいくつかいただき掲載いたしましたので、ご覧になってみてください。
私の自助グループ体験談へ

(2009/5/26 文責:あかりプロジェクトYui・いづ)

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