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摂食障害と仕事 ~ルマコラム~

Vol.4 摂食障害さえなければ…

 皆さん、こんにちは。

 前回のコラムで、「私にとって働くこととは・・」という反響のメールを何通かいただきました。一通、一通、じっくり読ませていただきました。ご意見、ご感想お寄せいただいた方、本当にありがとうございました。今後も、皆さんと一緒に「摂食障害と働くこと」について考えていければいいなと思います。引き続き、ご意見お待ちしています。

 さて、今回は「摂食障害さえなければ・・」ということについて考えてみたいと思います。

 摂食障害になって、お休みしている方、敷かれたレールを降りた方、たくさんいらっしゃるかと思います。私も敷かれていたはずのレールを降りざるをえなくなった人間のひとりです。お休みすることはとっても大事なことだと思います。ただ、一回お休みしてしまうと、次の段階に進もうとする時に勇気が要ることが多いのも事実です。

 私は「働かなくてはいけない!」とプレッシャーに感じていた時、「摂食障害にさえならなければ・・、大学を中退しなければ・・・、こんなに太らなければ・・・」という思いに囚われていました。周りが就職氷河期で悪戦苦闘していた時、そんな土俵にすら上がれなかった自分を責めて、責めて、責めまくりました。

 「太らなければ、スーツだって買えるのに・・」とか
 「大学さえ中退しなければ、履歴書がちゃんと埋まるのに・・・」とか
 「そもそもは過食症なんかになったから、自分の人生がめちゃくちゃになって、まともに働けないんだ・・もう、生きていけない・・」とか。

 他の人たちと比べて、出遅れてしまったことへの焦り。将来の展望が見えないことへの苛立ち。そんな中で投げかけられる親からの「同級生の○○ちゃんは、○○になって・・」という言葉。

 自分自身がいちばん苦しいのに、追い討ちをかけるような情報ばっかりが耳に入ってきて、何と苦しかったことか!後悔しても意味がない。過去は変えられない。前を見るしかない。頭ではわかっていても、「摂食障害にさえならなければ、もっとまともに働けたり、自信を持って面接に行けたりしたはず・・」という思いは消えませんでした。同じように感じてらっしゃる方、たくさんいらっしゃるのではないかと思います。

 自分のことを振り返ると、「こんなのは本当の自分じゃない」という思いがあったんだと思います。どこに本当の自分がいるのかはわからなかった。でも、とにかく苦しい。普通の人生さえ歩めない私。何が普通なのか、具体的にはわからないけど、漠然とした「普通の生活」というものが存在していて、それすらできない自分を責めた。

 私の場合、働くことに関して精神的に楽になったなと思ったのがここ一年くらいです。どうしてなのかなと考えてみると、人と較べなくなったというのがいちばん大きいようです。較べていてはいつまでたっても幸せになれない。何年も何年もかけて、やっとそのことに気づきました。仕事以外についても言えることですが、私には私の、あの人にはあの人の、あなたにはあなたのやり方があるはずなんです。

 仕事の内容。その仕事は一見すごいことではないかもしれない。でも、自分なりのやり方で、誰かが喜ぶサービスを提供することはできるはずです。それは、接客やお茶汲み、電話応対、書類の作り方ひとつをとってもそう。

 できないことはしょうがない。でも、摂食障害であってもなくても、何かしらできることはある。今の自分にできることを最大限、サービスとして提供しよう。それでいいんじゃないか。そう思ったら、ふと気が楽になったのでした。

 皆さんはいかがお感じになりましたか。またよかったら教えてくださいね。

(2010/3/20)