トップ >> 摂食障害と暮らす >> 摂食障害を抱えながら子育てをなさっておられるお母さまへ 明橋大二医師インタビュー

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『子育てハッピーアドバイス』の明橋大二先生にお聞きしました~摂食障害を抱えながら子育てをなさるお母さまへ~

親をきちんと批判する作業は大切です

<まずは一度はきちんと親を批判していいんです>

―拒食も過食も過食嘔吐も、それによって子どもの成長に悪影響を及ぼすことはない、そして症状を抱えながらも子育てしている自分をほめていいということですね。
では次に、子育てするにあたって、まず自分自身の親への気持ちを整理することが大切と以前にお聞きしたことがあるのですが、それについて詳しく教えていただけますか。

 よく、「子どもを持てば親のありがたみがわかる」とか、「親に感謝できるようになる」とか言いますよね。「親は親で一生懸命愛情を持って育ててきてくれたんだ」というように、世の中、親を擁護するような言葉ばかりなんです。
 でもまずは、自分と自分の親との関係で考えたときに、やっぱり一度はきちんと親を批判していいんですよ。
 学校などで教えられるのは、結論としたら、「親は愛情を持って育ててきてくれたのだから親に感謝しましょう。」ということを教えるために授業は組み立てられている。
 確かにそういう部分もあるのですが、それでは親の接し方で自己評価が低くなったり傷ついたことや、親の接し方で自信を失ったことが全部ないことになってしまうんです。「親は愛情を持って育ててくれたんだから、自分の心がけが悪い」というふうになる。だけどそうじゃないんです。「確かに親は愛情を持って育ててくれたと思うけれど、だけどこういうことは言ってほしくなかった」、「こういうことは親として間違っている」、「こういうことで傷ついた」と、ちゃんと親を批判していいんです。
 悪気がなくてでもこういうことはしてほしくなかった、というのが事実なので。そういう意味でやっぱり子どもは悪くなかったんです。
 子どもであった自分は決して悪くなかったんだという事実をきちんと親に批判する。
 それが批判できたら、同じことを子どもにはしなくてすむんです。
 子ども時代に、親から厳しく否定されてきたことが嫌だと思いながら過してきた人が、親になったとたんに「親がああいうふうにやった気持ちもわかる」と、自分の子どもに同じことをやってしまう。それは、大人になった時点で、全部親を無批判に肯定してしまうからです。
 そうじゃなくて、きちんと批判する。そしたら同じことを子どもにまったくしないというわけではないけど、しないですむようになるんです。親を批判しましょうなんて言う人はほとんどいませんけどね(笑)

―確かにいないですね(笑)
批判というと、親に面と向かって批判するということなのでしょうか、それとも自分の中にある批判を自分自身で認めるということなのでしょうか?

 まず、自分の中で認めるということが第一です。それだけでも十分意味があります。
 一番いいのは、きちんと親に話して、親に認めてもらえて「悪かった」と謝ってもらえること、これが最高ですね。自分は悪くなかったということを確信できるからそれが理想です。
 だけど、親御さん自身の中にも余裕がないわけで、「何てことを言うんや、こんなに一生懸命育ててあげたのに責めるなんて。」と逆によけいに責められて傷つくことを言われる場合もあるわけですよね。それなら言わないほうがましです。
 だから、その中間の方法として、“出さない手紙を出す”という方法もあります。親に宛てて「私はこういう気持ちだった、こういう風にしてほしかったんだ」とか書く。出さないけれども、一つ自分の中でけじめがつきますね。

<昔でも『ハッピーアドバイス』みたいな子育てが現実にあったし、こんな考え方があったんです>

 私のところに全国から届く読者カードには二通りの感想があるんです。
 一つは、「もし30年前にこの本があったら自分はこんなに辛い思いはしなかった。自分がどうしてこんなに自己評価が低いのか、どうしてこんなに辛い思いして生きてきたのかその理由がやっとわかった。」という人。実は親の言葉のかけかたによって辛かったんだと気づき、そこで初めて自分は悪くなかったということを肯定できる人ですね。
 ところがもう一つの感想はというと、「自分の親はこの本に書いてある子育てと同じ子育てをしてくれた。そういう意味で改めて親に感謝しました。」というもので、半分くらいです。
 ご自分はどうでしたか?

―私は親を批判していいよと言われるとすごく楽になります。

 言われるまでは、自分が悪いんだと思っていたわけでしょ。思い込まされている。洗脳ですよね。

―確かに、傷ついた自分が駄目なんだと思っていました。

 昔の40年前でも『ハッピーアドバイス』みたいな子育てが現実にあったし、こんな考え方があったんですよ。『ハッピーアドバイス』は今どきの子育て法みたいな感じで紹介されるけど、私は決してそうは思わない。昔からもこういう子育て法があったんです。
 「母子密着育児が大事でそれこそが日本古来の子育て法だ」と書いている本の著者が、1924年の大正生まれの方です。そこには、抱き癖をつけちゃ駄目というのはとんでもないと書かれてあります。