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摂食障害の基本知識 ~経験者の視点で語り合いました

Chapter3 ここに居てはいけないような、申し訳ないような感じ

いづ : さて、一応用意してきたテーマはあるんだけど、大体決めててもいつもそれていくから(笑)。自助グループだといいっぱなし聞きっぱなしが多いと思うんですが、今日はわたしが進行役をさせてもらって、いろんなことをみんなで語り合いたいなと思います。苦しさとか感情を表現する言葉を見つけることができたらなっていうのと、その言葉を伝えたい人に伝える方法をみんなで考えることができたらっていうのが、まあ大きなテーマです。一応頭に入れながら(笑)。今日はどうぞよろしくお願いします。では、いま症状がある方はそれがどんなに苦しくて大変かを言葉にしてみる、症状がもうない方もいま息苦しさを感じておられるならそのことを、それかあの頃どんなふうに苦しくて大変だったかをお聞かせいただけますか。

saahko : わたしは今現在のことを。摂食の問題もかなり根が深かったんだけれど、わたしの中で、自分しかわからない「声」の問題っていうものがあって、それがものすごく根が深くって。去年一年いろんなことがきっかけですごくへこんでいて。でも仲間に出会えたり、自分の居場所が見つかったということで良い方に向かってきてるんだけれど、でもどうしても電話が苦手で…。いまパートを探しているんだけれど、一つ、目をつけている仕事があって、決まってほしいんだけど、「電話がかかってきたらどうしよう」とか、「電話でうまくしゃべれなかったらどうしよう」っていう不安でいっぱいで。でもそれがね、解決したの。子どもがサッカーをやってるんだけれど、コーチの言葉を子どもと一緒に聞いていて、「失敗してもいいねん、失敗はしに行くねん。待ってたら何もおこらへん。10回やって1回うまくいけばそれでええねん!」っていうのを聞いて、すっごくびっくりして!「え???失敗してもいいの?」って。いつもどちらかというと、例えば電話だったら、「ちゃんとしゃべらなくちゃ」「上手に言わなきゃ」って…。多分親に、小さいときからずっとそう言われて育ってきたのもあるんだろうなと思う。「ちゃんとして」とか「しっかり言わな恥ずかしいよ」とか。だから、しゃべることだけじゃなくて、何のときでも新しいことをするときは「失敗したらだめ、きっちりしよう!完璧じゃなきゃ!きっちりかっちり完璧に!」って自分に求めてしまって。。。

レイカ : それがしんどいね。。。うーん、わかる!

saahko : そうそう、それがしんどいねん。

いづ : どんな風にしんどいの?

saahko : うーん、どんな風にしんどいかなあ。それが例えば摂食時代の拒食期と同じで、完璧にこなせてやれているときはいいんですよ。やれているから。でも、それが崩れて出来なくなったときに、「わたしもうあかんのや!」ってなんだかもう、自分の全部がダメになったような不安な気持ちになるし、わたしはそこに居ていいのかな…って。これまでいろんな仕事を転々としてきたんだけれど、入ってしばらくはがんばって仕事するんだけれど、仕事中にも暇な時間とかが増えてくると、「わたしここに居ていいんだろうか」とか、「役に立ってないんじゃないか」とか、ここに居たらいけないような気持ちになったりする。だから、コーチの「失敗しに行くねん!」っていう言葉を聞いて、気が楽になったのと、多分新しい職場に行ってもきっと「わたしここに居てもいいんやろうか」って気持ちが顔を出す時が来ると思うから、「わたしはここに居ていいんだよ」って自分に言い聞かせながら過ごしていこうって、今、自分なりに突破口を見つけた感じです。

いづ : ここに居てはいけないような感じ…みえっちさんはそんな気持ちになることありますか?

みえっち : 自分が居たらつまらないんじゃないかってすごく思う。すごくネガティブな思考になる。

saahko : そのままの自分でいたらダメなような、なんとなくすごく居心地の悪い…わたしは小さい頃から家の中でそれを感じてたの。そのままの自分でいたら置いてもらえへんような感じ。カラ元気でも大げさにうれしがらなきゃいけないし、怒りたいことで怒ったら多分怒られるし。すごく、人といることにしんどさを感じる。

いづ : わたしと居たらつまらんのじゃない?という感じ、わたしもすごく共感するんだけれど、そのときの感じってどう説明すればいいんだろう。

みえっち : うーん、なんか、申し訳ない感じ…かな。なんて言うのかな?

saahko : 「申し訳ない」っていう言葉なんだけれど、その「申し訳ない」って言葉が自分にパンッと植えつけられいてる感じがあった。それをたどっていくと、それが出来上がった大事件があって。それは、ピアノをやめたこと。母がピアノの先生で、この家でピアノをやめることは絶対いけないってずっと思っていたのに、やめたから…その申し訳ない気持ちが、パンッて根底に入り込んだみたいで、多分その気持ちが、ダイエットにもつながっていったと思う。

めぇぐ : ここに居てはいけないっていう感じは小さいときからずっとあった。両親がすごく仲が悪かったから、両親がけんかするのは自分のせいやってずっと思ってて、だから今でも、親に対してはすごく申し訳ないとか、両親を怒らせないためのことを考えたり、どうやったら両親が仲良くやっていけるかをずっと演じてきた。けんかしたら自分のせいやって、申し訳ないって思いながらずっとやってきて、今もそれはずっとあります。何が申し訳ないとか何が悪かったとかは特定できるものはないんですけど、その気持ちはずっとあります。

レイカ : みんなの話聞いてて、全部共感するというかうなずくことばっかりだったんですが。わたしも同じ、申し訳ないって感じを抱えている。家も両親がけんかするんですよね。貧しかったから母も子育てとやりくりで大変やったんだろうけれど、でも小さいときはわからない。お金のことで両親がけんかしてるとわたしはいつも泣いてました。わたしがいい子にしてたら父と母とみんなで一緒に暮らせるんかなって。「もう離婚するわ!」って母が言うのがほんとに嫌で嫌でたまらなかったし、母はしつけも厳しくて、たたかれて、殴られて、外に放り出されて…今で言う虐待なんだけれど、小さいときはわからなくて、自分が悪いから殴られるんかなって…。自分に子どもができてからは、だから夫とのけんかを絶対見せたくなくて、いつでもわたしが悪いって言って丸くおさめてきた。わたしのせいです、ごめんなさいって。それで社会に出たり友達と居るときにもいつでも、嫌な空気を感じたり気まずかったりすると、わたしのせい?わたしがおるからみんな楽しくないんかな?って感じてしまう部分がいまだにあります。

かつら : わたしも二歳のとき、家が自営業がバタバタで忙しかったからこそやと思うんですけど、兄と姉は実家で、わたしだけおばあちゃんのところに預けられました。毎週日曜日は実家に戻されて、月曜日の朝になるとまたおばあちゃんのところ。泣きながら、なんで一緒におさしてくれへんの???って。なんでわたしは一人だけおばあちゃんのところに行かなきゃいけないの?って…。それで自分の中で考えて、「それはわたしが悪い子やからや」って答えを出してしまって、そこから、わたしはいい子にしないとあかんということで、今ここで笑ったほうが可愛いと思われるから笑うとか、ここで泣いたほうが可愛いって思われるから泣くとか、話の内容が子どもながらにもわかってるのに、わからない振りをしたほうが子どもらしくて可愛いから「え?なんでなんで?なにいうてんの?」みたいにわからない振りをしたり。いわゆる大人の顔色を見る子どもらしくない幼児になってしまって…。そこから、自分さえ我慢すればよくなる、自分さえ我慢すればいいわって考えるようになった。わたしは悪い子で人よりも劣っているって、何もかもに自信がなくなってしまって、そういう劣等感みたいなものを抱えているから、気に入ってもらえるためにはわたしは我慢したらええねんって。イエスマンみたいなそういう風な子供になってしまったと思う。

いづ : みんなその部分は共通なんだね。申し訳ないとか…存在が申し訳ないみたいな…

saahko : そうそう、「わたしがここにいてごめんなさい」って言葉が、自分の中にあった。なんでやろね?いまは、わたしがおらんかったら子どもが困るしとか、ご飯つくらなあかんしとか、そういうところで、安定しているのかな?

かつら : なにかあったときに、でもわたし大丈夫かな?やっていけてるかな?とか急に不安になることがある。わたしも昨日今日の話なんだけど、子どもの幼稚園の役員に4月からなってしまって、がむしゃらにやってたんだけれど、最近仕事を転職して忙しくなって、そこまで時間が取れなくなった。「転職したばかりなんですみません」とかなかなか言えなくて、ほかの3人には「ごめんなさい、その日は行けないんです」とかってやってたら、ボスママみたいな人がすごくわたしを責めてきた。今までやってきたことが全部チャラになってて、「あんたはなんでやれへんの?」って…。説明しようとしても、上からかぶせるように、ぶわーって「あんたすごくひどいことしてるんやで」って言われるから、そこで昔のあの感じが出てきて、「あ、やっぱりわたしってあかんのやわ」って。みんなに悪いことして迷惑かけてしまってるって。三角座りして落ち込んで、子どもにママ大丈夫?って言われて(笑)。それで、どうしたらいいんだろうって考えて、どこか突破口がないかなって思って、そのボスママの友達の人に電話して話を聞いてもらって、実はこんな状態でわたしがんばってるつもりなんやけどあかんみたいで…て話したら、「うん、やってるよ。わたしあんたがすごくがんばってるの知ってるよ。できてるやん」って言ってくださって。そのボスママはいろんな人をターゲットにする人やから、いまターゲットになってるだけやから、過ぎるまで待っときって言ってくれて、すごく気持ちが楽になった。

いづ : そこでその人に気持ちを言えたのはすごいね!

かつら : そうそう、2週間くらい、ずっとずっと暗く落ち込んでいたから、このままではまた元に戻ってしまうって危機感があって、またあの泥沼に戻るわけにはいかんって。それで、誰かに言おう!って。

いづ : たぶん、10年前ならその方法も知らなかったし、できなかったんじゃない?

かつら : うん、昔のままのわたしだったらまた繰り返してたと思う。でも今は乗り越え方の方法を学んでいて、そこに気づけたから次に行けたんだと思う。ここまでは我慢できるけれど、ここからはもうぎりぎりやからもう人に聞いてもらおう!って。

レイカ : 人に聞いてもらうってことは大事だよね。

saahko : 昔の自分やったらああするしかなかったけど、今の自分は変えていけるからっていう出来事の連続やったかもしれない。新しい方法に気づいていけることっていうか。それを、今でもやっている気がする。昔の自分だったら超えられなかったけれど、今のわたしは行動に移せるというか。

いづ : わたしたちの根底にある居たらいけない感じとか申し訳ないっていう感じはまだあり続けているんだけれど、あるってことを知っているって感じはするね。

saahko : うんうん、そこに飲み込まれている状態と、あるってことを知って、外から見えることは違うね。でもね、あの申し訳ない感じも、それに至るまでのいろんな要素や原因やきっかけがあったと思う。摂食に至る要素も。真只中の苦しいときは、わたしが悪かったんだってそういう方向に考えがちだけれど、そうじゃなくて、何かそうならざるを得ない原因があったんだと思う。