トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 仲間に聞いてみよう!Vol.2 就労支援事業所を開設した鈴木こころさんにお聞きしました

摂食障害の基本知識 ~仲間に聞いてみよう!

“「働く」の前段階に目を向けた作業所

-仕事で苦労したこととオフィスパートナーの特徴ってリンクしてる?

 しとるしとる。

-あと、大事にしとることもきっと…

そっとしておいてブローチ してますしてます。うちは生活と社会の基礎力を回復させるってことをテーマにしてて、なんで生活と社会なんだと言ったら、仕事上の作業なんかは、私は一応できる人やったんです。でもやっぱり朝起きられない、億劫で起きられない、人が怖いから行くのが怖い。学校もそうやったけど会社も怖くて行きたくない気持ちになる。そこが弱かったんです。だから、とにかく朝きちんと起きるとか自分から挨拶ができるとか、そういう基礎のことをちゃんとしていこうと思ってて。

 後は集団行動に慣れるじゃないけど、やっぱり人が苦手やけん言いたいことも言えないみたいな、自分から人に近づかないことで自分が人から離れよるのに自分が孤独だ孤独だって被害者面しとったなって思ったりもして。その被害者意識もわかるけど、ちょっとでも人に慣れるように練習はしたほうがいいなと思ったりして。あとは時間を守るとか、今どきやったらパソコン操作とか。

 みんなお仕事もしたいし同級生と同じように結婚もしたいし、自分の働いた給料で何か買いたいしとかいろいろあるだろうけど、まず家にこもっとったら何も進まない。私もパソコンができなくて、リボンの会のパンフレットをつくらんといかんからパソコン教室に通った。目的があったからできた。そういう生活と社会の基礎力、ベースの人間力を回復していきたいなあというのがあります。具体的に今すぐには思い出せないけれど、自分の経験とリンクはしとるんですよ。作業にはそんなに重きを置いてない。

 あと、普通の作業所って来たらすぐにお仕事する場所になってるけど、すぐにお仕事するんじゃなくて、人が怖くてよそに行くのだけでも怖い人が、契約したらすぐいきなりお仕事するってそれは絶対に無理って、ハードルが高すぎるって思って。それがどんなに簡単なお仕事でもしんどいじゃないですか。だからオフィスパートナーでは来るだけでもOK。そこでぼーっとしとってもOK。それを一つクリアしないとお仕事なんか手につかないし、安心感がないと怖くてお仕事の練習にもならんから、まず来てボーっとしてもOK。あと、やっぱり家族こととか昔のいろいろなしがらみとかしんどいことがあって前に進めなくなってる状況だってあると思うから、来てノートにばーっと書いて自分の整理をするのもOKってしてるんですよ。

 私自身仕事ができるようになって、28歳のときに好きな仕事につけたから、その前段階で死ぬ思いもできたから、ある程度自分の整理ができてたんだと思うんですよ。だから急にフルタイムの仕事が決まってもやりたい仕事だったし乗り越えられたと思うけど、仕事をする前段階で自分の整理ができてないと、どんな簡単な仕事でもできない。困難を乗り越えられないと思うんですよ。仕事の前に自分の整理もOKよって施設なんですね。

-それが大事にしてることなんですよね。居場所としての機能、仕事の前段階のことからやるよってことやね。

 そうです。私はそこが今の既存の施設には無いものやと思っていて。

-そうやよね、ホームページを見て、よくできてるなあと思った。キャリア事業部とオフィス事業部に分かれている部分がね、キャリア事業部は居場所的な部分なんですよね。そういうのがすごく知恵が詰まっているなあと思って。そうか、そういうのって全国的にもあんまり無いんだね。

 無いと思う。経験してないと前段階が要るんだって思わないと思う。

-そうやよね。

 なんぼ好きなお仕事でも前段階が無かったらやっぱり上司になんか言われたらへこんでしまったりとかすると思う。

-ほんとにそうやよね。深く同意します。

※写真は「そっとしておいてほしい」時につけるブローチ。手芸が得意な利用者さんの手づくり