トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 いろんな人に聞いてみよう!vol.2文化人類学者 磯野真穂さん

摂食障害の基本知識 ~いろんな人に聞いてみよう!

昔から「こういうものです」的なことが苦手だった

-そもそも、わたしがやりたいのはそれじゃないって、分割していくことに違和感を持つっていうのは、どうしてそうなのか思い当たることはありますか?

 わたし、なんか昔から簡単に納得できないってところがあって、小学校?中学校のときかな?マイナスとマイナスをかけたらプラスになるっていうのがあったでしょう。意味がわからない。なんでマイナスとマイナスをかけたらプラスになるの?みんな「そういうものだから」ってやってるけど、「そういうもの」じゃ理解できない。引き算と足し算はわかる。

-そうですね、そういわれてみればなんか、不思議ですよね。どうしてマイナスかけるマイナスがプラスなんだろう。

 先生に聞いてもイマイチ腑に落ちる説明が返ってこないんで。なんかそういうふうに、「こういうものです」みたいなことが苦手だった。子どもとはこういうものだとか、女とはこういうものだとか、ある種のそういうものだ的な決めつけっていうのが苦手だったの。それで、たぶん人類学みたいなそもそも「こういうものだ」っていうのはどういうふうにできてるの?って調べていく学問があったんだって。当たり前がなぜ当たり前として成立しているのかを考えていくわけです。この本でも「なんでわたしたちは食べるのか」って、ある種当たり前ですよね。そこの部分を見ているわけです。

-こういうものだっていう前提が腑に落ちない…。なるほど、とても共感します。それはそうと、摂食障害という題材を選んだっていうのは偶然だったんですね。

 でもずっとやってきたのはいわゆる摂食障害が生物学的心理学的社会学的に絡まりあって起こるっていうあのモデルがどうも腑に落ちなかったから。で、15年もかかっちゃったと。

-15年ですか!このインタビューを始めたのと摂食障害に取り組み始めたのとは同じ時期ですか?

 いや、このインタビュー自体は2006年から始めてるんですけど、シンガポールの時期があったから。実際摂食障害に取り組みはじめたのは2000年から。2001年にシンガポールに行って修士論文書いたのは2003年。それからずっとやってて、2015年にこの本が出たんですよ。

-じゃあ修論はまた別の?

 シンガポールの摂食障害。この本の家族モデルのところはわたしがシンガポールにいたからこそ書けたところ。

-日本とシンガポールの摂食障害のとらえ方は全然違ってたって書いてありますね。

 わたしがみなさんに言いたいのはみなさんが正しいと思っていることって意外と正しくないんですよと。

-つくられた正しさですね。声を大にして、ぜひ言い続けてください。

 エラそうに言ってる人ほど疑いましょう。

-いいぞいいぞ(笑)。偶然とは言えよくぞ摂食障害を取り入れてくださったというのが一当事者としての素直な感想です。