トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 いろんな人に聞いてみよう!vol.2文化人類学者 磯野真穂さん

摂食障害の基本知識 ~いろんな人に聞いてみよう!

文化人類学を知って、わたしがやりたいのはこれだ!と思った

-最後の、一番聞きたいポイントに移りたいんですけど、磯野さんが今に行き着くまでのことを今のご研究のことも含めて話していただけると。

 この本に書いたこととも繋がってくるんですけど、わたしもともと運動生理学やっててトレーナーになりたかったんです。

-体育会系ですよね!

 良く言われます。全然うれしくないんですけど(笑)で、面白いことに、自然科学的なアプローチっていうのは人間を捉えているような気がしないんです。本にも書いたように運動生理学って人間がどんどん細分化されていくんです。最初パフォーマンスの話だったのが筋肉の話になっていつしか筋繊維の話になってアミノ酸の話になって、みたいにどんどん人間が細かくなっていく。でも実際のスポーツのパフォーマンスってそんな筋繊維がどうだとか栄養素がどうだとかそんなことでは決まらなくて、やっぱりもっといろんな要素でパフォーマンスが決まってて、もしかしたら朝見た目覚ましテレビの占いの結果が悪かったとかそれが影響しちゃっているかもしれないわけですよ。で、そういう風に捉えたときに、人間を細かく切っていくアプローチっていうのはなんかわたしが知りたい人間のスポーツじゃないって違和感を感じたままアメリカに行っちゃったんですよ。

-その運動生理学のことで?

 スポーツのパーソナルトレーナーになろうと思って。でもやっぱりなんかのめりこめない。そんな時に出会ったのが文化人類学です。いわゆる運動生理学的なまあ自然科学的な研究って言うのは実験参加者っていうのは人形なんですよ。自分が言った通りに動いて欲しい。たとえばアンケートに1,2,3,4,5っていう選択肢があったらそこで選んでもらわなきゃ困る。変なところに丸を付けられたりそれを言葉で書かれたりしちゃ困る。でも文化人類学ってまったく逆で、対象者から教えてもらうっていうスタンスを取るんですね。むしろ対象者が自由に生活したり話したりするのに研究者が合わせていく。すごいアプローチだなこれって感動しちゃって…。その授業を受けた3日後にその先生のオフィスに行ってこれこれこういうことをやりたいんですけどって言ったら「それはまさに人類学だ」みたいな話になって変えちゃったの。専攻を。アメリカってすぐに専攻を変えられる。で、突然わたしは人類学専攻になったの。

-あはは

 その時に修士の研究で何をしたいか書かなくちゃいけないわけです。でも考えてない当然。突然変えたんだもん。えーっみたいな感じになって、でも身体のことやってたから、身体に関わるアプローチで、しかも運動生理学的なアプローチでは絶対できないことをやりたいなと思って。って思ったときに摂食障害かなって。

-へえええ

 周りにもいたし、自分もダイエットしてたし。あとアメリカに行ったときに今まで自分はぽっちゃりしてるとか言われてたのに突然わたしはスリムな人間になったんですよ。それで、なんかくだらないなあと思って。

-うんうん

 なんなの?これってなんかくだらないぞって思って。っていうのもあって、摂食障害はちょうど今出始めている問題だし、身体っていう運動生理学と文化人類学の接点として捉えられるからこれにしようと思ったのがきっかけなんです。