トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 いろんな人に聞いてみよう!vol.2文化人類学者 磯野真穂さん

摂食障害の基本知識 ~いろんな人に聞いてみよう!

ちまたに出てる情報は小ばかにしていいと思う

 具体的な方法を一つ提示するとすれば、ちまたに出てる情報を小ばかにしてみるっていう。

-ああいいですねえ。

 たとえば、こういうの食べると健康になりますよとか、こういうエクササイズをしたらこうなりますよ、あなたも幸せになれますみたいな情報って社会にあふれかえっているわけなんです。ですけどこれは資本主義的なシステムにうまく乗ってるマーケティングなので、ちょっとここを疑う。たとえば科学的うんぬんって言っても科学的な現実なんて10年も経てば変わっちゃったりすることもあるわけで、そういうものにいちいち心を左右されない、「ふーん」みたいな感じで小ばかにする抵抗力が重要だと思うんですよ。

-なるほどね…。それはわかりやすい。

 たとえば拒食や過食で困っている方って、かなり食べ物についての情報を気にしますよね。抗生物質を使った肉は一切食べてはならないとか、マーガリンを食べるなんてもってのほかとか、有機農法の野菜じゃないといけないとか、もう挙げだしたら際限がないくらい。でもちまたにあふれているそういう情報をうのみにしたら何も食べられなくなっちゃう。そうじゃなくて、そういうものっていうのは一体どういう意図で発せられているんだろうなっていう形で、外から入ってくる情報に対して自分でバリアを張ってしまうみたいなそういう抵抗力っていうのはわたしはすごく役に立つと思う。

-それは具体的にどうしてなんでしょう。

 たとえばマーガリンをたくさん食べると、○○という病気になりやすいというデータがあるとする。でもそれはあくまでもそういう傾向がある、ということであって、マーガリンを食べたあなたに当てはまるかはまったくわからない。統計と言うのは白黒じゃなくて、グラデーションだから、マーガリンをたくさん食べて〇〇病になる人もいれば、ほとんど食べていないのに〇〇病になる人もいるわけです。科学的な情報はあなたの運命を予想することは決してできない。もっといえばタバコは科学的に身体が悪いことがかなりはっきりとしたデータとして示されている、数少ないものだけど、ヘビースモーカーでも長生きする人は長生きする。でもその横で、タバコもお酒も一切やらなくていわゆる「健康的な生活」を送っている人が、がんになったりする。現実は白か黒かでわかることはホントに少なくて、常に曖昧な部分の方がおおいわけだから、流れてくる情報をもっとゆるやかにみるために、情報に対する抵抗力を持った方がいいんじゃないかな。

-そこは、卵が先か鶏が先かじゃないけど、もうすでに陥っている人たちは抜けられないから悩んでいるんであって…

 実はもう一つ考えてきたんですよわたし。

-わあ、なんですか。