トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!vol.8鈴木眞理さん

摂食障害の基本知識 ~ドクターに聞いてみよう!

変に擦り切れなくても、世間ずれしなくてもいい

いづ : 最後にメッセージをお願いします。

鈴木 : 協会のメッセージと同じです。食べる喜びを。これですね。怖いけど、「でもこれなら食べられる」「これなら楽しく食べられる」でいいと思うんです。だってベジタリアンもいるし特定のものしか食べない人だっているしそれでいいじゃないですか。その人にとっての食べる喜びをぜひ見つけてほしいです。あと人とのコミュニケーションよね。この病気のベースは人間関係に集約されます。

いづ : ベースは自分が劣っているという感じがあり、それが結果的に人間関係の上手くいかなさにも繋がったりいろんなことに影響してという感じでした。

鈴木 : 劣ってる人は実は客観的にはあまりいないですよね。

いづ : そうなんです。ただの思い込みというか根拠がないんです。

鈴木 : 理想が高いんですよね。

いづ : 劣ってるって思ってるからこそ理想が高いっていう感じがするんです。

鈴木 : みなさんよく自信がないっておっしゃって…。それは何かができたから払拭される劣等感ではなさそうですね。

いづ : そうですね、やってもやっても満たされないという。

鈴木 : 自己効力感とはまた別のものですね。

いづ : もっと土台のもののような、存在価値みたいな。

鈴木 : 存在価値がないといけない、私は人より劣っちゃいけない、というのがベースにありそうですね。どうですか?

いづ : すべての人と同じように自分にも存在価値があるということを感じられなかったんです。そのままで存在価値があったのに。

鈴木 : 誰かが劣ってないと順番がつかないですね。私は頑張っているのに、あの人は真面目に仕事しないと他人を批判する患者さんは多いです。がんばらない人がいるからあなたが一番になるのよ、だからやらない人に感謝感謝っていつも患者さんに言うんですよ。

いづ : 得意不得意、でこぼこがあって、そういうのがぜーんぶあってOKという、言ってみれば当たり前のことなんですけどそこに気付くまでにものすごく時間がかかって。それに気づかせてくれたのが摂食障害。

鈴木 : この病気には必然性があるんでしょうね、私は全部治そうとは思ってないです。治せないです私には、その人の生き方なので。そこまで差し出がましいことはできないです。

いづ : 私、治せないって言ってくださるお医者さんのほうが信用できるんですよね。

鈴木 : ただし、救命にはがんばります。でも死んじゃう人もやっぱりいます。あとは、合併症の治療は最大限は診ます、病院に来たらほっとする場を提供できます。みんなで力を合わせて精一杯やってますから。これが本音ですよね。

みか : そういう先生のほうがホッとできるかも。その時の状態で身体を守ってくださるみたいな。身体を守りたいって気持ちはきっとみんなあると思うんで。

鈴木 : ありますね。びっくりしちゃうけど食事は取れないのにサプリ飲んでますとか、「いやいやサプリはメインあってこそのサプリだから」って説明するんだけど身体のことみんな気遣ってるんですよね。

みか : みんな死にたいわけじゃないもんね。

鈴木 : そうそう、死にたいわけじゃない、生きたいですよね。私は死にたいって言われたら死にたいくらいに辛いのねって翻訳してあげるんだけど。この病気のおかげで生き延びてますよね、だから取り上げると死んじゃいますよね。その怖さはわかっているつもりです。だけどまあ程度もんですよね、命にさわらない程度で止めてねっていう、そこを数字で示すのが仕事だと思っています。

いづ : 今日はお話をお聞きできてすっごくうれしかったです。

鈴木 : ありがとうございます。みかさんはご一緒に活動されているんですよね。

みか : はい、私は京都であかりトークをやっています。本職は福祉職なので、医療の後に生活の支援とか就労の支援とか絶対にいるなあと思っていてそういう継続性のところは考えていきたいなあと思っているんだけど。

鈴木 : 絶対に必要ですよね、一番大事なところ、社会に出ることが最後の課題ですね。

みか : そうですね、社会に出て仕事をすることでつく自信みたいなものもあると思うので。

鈴木 : それもありますね。ところで、私は家事手伝いも自立だと思います。私もう60をとうに超えているので、私の時代では半分は家事手伝いでした。今は、ほとんどの親が社会で仕事して一人前、自活してほしいって言うけど、私はすごく違和感があるんですよ。外でいろんな厳しい労働条件やハラスメントが蔓延している中で、それを上手にかわしながら働くことに向いてる人が果たして半分いるかなって。半分はお金のためとか生活のために我慢して働く人はいるけれど、苦手な人は家事手伝い、親戚の家業手伝い、ボランティアとか半分ぐらいいるんじゃないかって思ってるんですよ。適性として。

いづ : それはいい悪いではなく適性ってことですよね。

鈴木 : 適性として。

いづ : 私も賛成です。世の中全部がそういう考えになってくれたらどんなにいいやろうって。そしたら摂食障害もなくなるかもしれない。

鈴木 : 少し減るよね。9月の私たちの家族会のテーマは「自立」なんですよ。お母さんたちは自活できることが自立って言うんですよ。東京で女が働いて自活って無理ですよ、それでいて何でお母さんたちが自活って言うのか不思議なんですけど、それで私、女を磨いていいダンナ見つけたほうが早いですよってお母さんたちに言うんですよ(笑)。

いづ・みか : あはは(笑)

鈴木 : 半分冗談半分本気で。女が一生涯自活できる仕事ってそんなに無いと思うんですよ。

みか : 大変ですよね。

鈴木 : おわかりですよね。リストラの風にあい、ね、途中で資格を取り直し、いろいろ大変ですよ。

みか : 私も働いていますけど夫がいるから生活の基盤はあるので、こう仕事はやりがいのためみたいな。

鈴木 : ちょっと気楽でしょ。なんか大変なことがあってもまあいっかあって思えるよね。

みか : ちょっと楽しんでやれたりとかもするし。

鈴木 : それができるならいいと思うんですよね。変に擦り切れなくても、世間ずれしなくてもいいですよね。

いづ : 私もそう思います。

みか : のんびりできる仕事があってもいいですよね。家と職業との中間みたいな、もうちょっとこう摂食障害の人も利用できるようなシステムができていくといいなあと思って。

鈴木 : 主婦が好きな人も増えていいと思うし、家をしっかり守って、地区のお手伝いとか学校の行事とかをがんばって、分担すればいいと思うんですよね。みんながみんな働かなくてもいいと思うんですよね。

みか : 働きたい人もいれば家が好きな人もいるし。

鈴木 : それがメッセージになればいいなあと思います。

いづ・みか : ありがとうございました。