トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!vol.8鈴木眞理さん

摂食障害の基本知識 ~ドクターに聞いてみよう!

協会は本来患者家族や当事者が運営するべき

いづ : 摂食障害協会の話もお伺いしたいと思います。予想できる部分もあるのですが、特に背景というか、鈴木先生ご自身の思いなどをお聞かせください。

鈴木 : 欧米と同じように、摂食障害は、医師、臨床心理士、栄養士、キャリアカウンセラー、在宅医療、福祉などがかかわって治療して、社会復帰を支援しなければなりません。統合失調症には全部揃っているのに摂食障害にはないってそれは手落ちです。
 摂食障害に関する医学会としての日本摂食障害学会がありますが20周年という若い学会で、当事者や家族の支援体制は希薄です。そこで、学会員が中心となって、2010年に「摂食障害センター設立準備委員会」を発足させました。署名活動、講演会、マスコミへのアピール、厚生労働省や国会議員などへ陳情活動を開始し、多くの方々のご協力を得て活動が拡がり、2013年には厚生労働省が摂食障害の治療環境の改善する調査研究班を立ち上げました。そして国立精神神経医療研究センターにガイドラインの作成や研究を行う摂食障害全国基幹センターを設置しました。2015年より摂食障害治療支援センターが設置されて摂食障害に関する相談業務を開始していますが、全国でたった3つの大学病院(九州、浜松医科、東北)です。また、治療者不足も深刻です。さらに、地域生活に対する援助は圧倒的に不足しています。
 そうした経緯を踏まえて、準備委員会は「一般社団法人日本摂食障害協会」へと移行し、法人化に至りました。協会はイギリスにもアメリカにもあります。学会と協会の違いを糖尿病を例にすると、研究や臨床データを発表するのは学会、大地震の時にどこでインシュリンが手に入るかを教えるという患者へのサービスをするのは協会という感じです。日本摂食障害協会は関東と関西に支部をおき、理事7名を中心に、特別顧問3名、参与13名、研究員2名で作られた組織です。摂食障害の治療に長年携わってきた心療内科、内科、精神科医、臨床心理士、管理栄養士など専門家からなります。
 拒食症や過食症などの摂食障害患者だけでなく、やせ過ぎという問題を抱える日本の若年女性とご家族、摂食障害ややせ過ぎの弊害を合併しやすい女子アスリート、トレーナー、管理栄養士、養護教諭など学校関係者も対象に、食と健康に関する正しい医学情報を提供して、サポートしています。さらに、当事者やご家族の問い合わせへの対応、摂食障害の啓発のために協会独自の、あるいは、他団体との講演会、新聞やトレーナーなどを対象にした各種雑誌への寄稿、調査研究と学会発表、患者グループや家族会の支援と連携も行っていきます。
 今後は摂食障害の啓発冊子制作や、病院のリスト化、メールや電話での心理士の相談、栄養士や学校関係者の研修を広げるべく、活動をしていきたいと思っています。
 外国は当事者や家族が協会の運営主力です。日本では、「うちの娘は拒食症なんです!」ってまだ言えないですよね。「うちの子糖尿病です」は言えるかもしれないんですけど。私たちが取りあえず土台を作ろうっていう流れです。

いづ : お医者さんたちが立ち上げるっていう点で、摂食障害の回復にあたって対等性みたいなものがすごく大事なように思っていて

鈴木 : 対等性を重要視されていることは知っています。

いづ : あなたも私も同じように力がある同じ人間という。で、医者と患者という関係性もあるし、社会的な力としてもお医者さんってオーソライズされて権力を持っている存在ですよね。

鈴木 : そうですね、やっぱり強いですよね。

いづ : まあ当事者はいろんな人がいるけど、それをいかに対等に力を合わせてやっていくかっていうところにたくさんの壁がありそうな気がしているのですが。

鈴木 : あります。欧米のように、当事者、特に回復して専門職になられた当事者やご家族が協会を運営するべきだと思います。でもまだまだ日本はこの病気に認知が低いし社会的支援がないから、とりあえず私たちが肩代わりしていると私は思っています。私は学会で活動する立場で十分です。

いづ : それは鈴木先生の個人的な思いですか?

鈴木 : いや、みんなそう思っています。当事者やご家族、頑張ってと思っています。