トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!vol.6生野照子さん

摂食障害の基本知識 ~ドクターに聞いてみよう!

-(けいちゃん)もっとお話をしていたいのですが、時間が迫ってまいりました。最後に、この未来蝶をご覧になっている摂食障害で苦しんでおられる方に、生野先生からのメッセージをいただけるでしょうか。

生野照子先生  そうですね。やっぱり自分の【心】と【力】を信じて欲しいと思う。でもこれが難しくて、信じられない方がとても多いんですね。だから「信じていいよ、信じていいよ」って言い続ける。

-(saahko)ああ、私が泣きそうです。(笑い泣き)。もう!ありがとうございます。

 「信じていいよ」って言うのは、私自身が信じてるからなんですよ。今までの治療経験を通して、【信じる】・【信じうる】ということが確信できるからです。だから、信じてほしい。その一言に尽きます。

-(けいちゃん)本当に嬉しい言葉です。でも真っ只中の時って、【信じる】とか【信じない】とか、全然なにも出てこないというかわからないというか、そんな感じだったように思います。

 そうそう、出てこないよね。だから、横で言ってあげる人が必要ですね。それが当事者同士、あるいは先輩。「自分を信じて良いよ」と言ってあげて、それを何回も繰り返してあげてね。1回や2回だけ聞いてもわからないもの。10回・20回・30回、言ってもらうとね、「あ、信じて良いのかしら」と思うようになってくる。そこから始まるのね。だから、私も言い続ける。そのために、まずは「私があなたを信じてる」っていうこと。そしてそれを伝えてあげたいと思う。

 身近にいる先輩達がいつも言ってあげたら、一番強い力になると思う。

-(saahko)なんか…当時、一番言って欲しかった言葉だなぁって思って(涙)。私自身が摂食を治す過程で「信じて良いのかな」「良いんだよ」って、自分には言ってきたんだけど、不安ながら摂食も治してきたし、このあかりに繋がるまでの人との出逢いの中で自分の道を探している時も、「自分を信じて良い」って、ずっと自分には言ってきたんだけれども、なかなか外側から貰う機会っていうのはなったので、今、ドンピシャリでハッキリと言っていただいたんで…(涙)。ありがとうございます。

 そう、自分自身にも言ってあげてね。

-(saahko)今苦しい方に「信じて良いよ」って言うのと同時に、やっぱり自分にももっと言ってあげたいなっていう気持ちになりました。

 そうそう。

-(けいちゃん)なんだか、いつも迷っていたように思うし、今でも迷っていることってすごくあるので、「信じて良いんだよ」っていう言葉は、あのころの自分にも、今の自分にも、本当に優しくて嬉しい言葉ですね…。
-(saahko)摂食のころは、食べたい気持ちもあるけど食べたくない気持ちもあって、痩せたいとか、色んな気持ちが交差する中で、じゃあ、「自分はどの気持ちを信じるの?」 っていう時に選べなかったり…。本当に、最初はそこから始まったので「自分は今、食べたい」という気持ちを信じて「じゃあ食べよう」っていう、最初はそんな小さなところから今に繋がってきたので、本当にこの「信じて良いよ」という言葉…大きいですね。

 あのね、【信じる】ということは「正しいから信じる」のとは違うの。でも、「正しくないと信じられない」と思っているのではないかしら。

-(けいちゃん)そうなんです、そうなんです。

 そこなの。【信じるということ】=【正しい】ことではないの。正しいから信じ得るのではなく、信じるということは、【迷ってる自分】【なかなか決められない自分】【まだ足りない自分】そういうこと含めて信じること。迷っているっていう懸命さ、…ね。一生懸命迷うわけ。だから苦しい。苦しいということは、一生懸命だから。一生懸命探して、いい加減なところで妥協できないで、「これが良いのか」「あれが良いのか」と、懸命に答えを求める自分。これを…信じるの! 正しい答えなんて、この世のどこにもない。だから、迷って求める。「人間関係って、いったい何やろう」と、「愛情って、何だろう」と、色んなことで…迷う。そういう自分を、認めるの。答えなんて、一生求めても出てこないもの。だから、「正しいことを見つけて、信じよう」と思っていたら、一生信じられない。…そうじゃなくて、人間っていうのは生きていくプロセスそのものなんだから、そのプロセスを今歩いている自分を認めるの。

 たとえ家に閉じこもっていても、そのプロセスを歩いてる。閉じこもっていても、色々と考えているのだから。「親に心配かけてないかな」とかね。それは、【心は歩いている】ということ。

-(けいちゃん)今もすごい色んなことに迷っているので…(涙)。先生の言葉に、心を動かされました。
-(saahko)っていうことは、摂食障害の経験そのもの自体も信じてOKで、経験自体も、やっぱり豊な財産ですよね。

 そう!そうですね。【我が通るべし人生】です。だって、どこを通ろうと我が道だもの。まあ「通らざるを得なかった」と言った方が良いかもしれないけど、しんどいことのほうが多いから。ほんと、もっと楽な道を通りたかった(笑)…とかね。けれど、通ることになったなら、しかたがない、前に進めばよい。そうでしょ? そして、その道を歩んでいる自分を信じるの。今、歩んでいることを。

 だから、【信じること】=【いわゆる正しいこと】ではないの。

-(saahko)【正しい】【正しくない】という確証がないから、なかなか信じられない。でも、正しいから信じるんじゃなくって…ですよね。

 そう。確証が必要なら、【そのプロセス】こそ確かなもの。【求めている】【探している】という過程にこそ、価値がある。でもそれはしんどいことであって、誰かに答えを出してもらえるなら、すごく楽よねえ。けれど、【求めている】というのは進行形であって、【前に向かって歩いてる】ということ、一歩一歩。途中でしんどい時は止まるけれど。それでも、求めているという道であるには違いない。これ、【求道】って言うのです。そういうプロセスを歩いている自分を、確認する。確かに、歩いてる…ってことをね。だから、「答えを持つ・持たない」ってことは、関係ないの。

-(saahko)もう、迷ってもつまずいても転んでも、遠回りしても、全部OKってことですよね。

 そう。そう。なんとしてでも、歩いてるから。だから、人間は結果で判断することじゃあない。摂食障害なんて、本当にしんどい道を歩いて…一言で言えば「ようやってる」わけよ(笑)。簡単に言えば、そうでしょ。「それを信じなかったら、何を信じるの」って感じでしょ。もう「これだけしたんだから、いいでしょう。あなた自身を信じてあげて」っていう感じ(笑)でしょ。それこそ【求道】、たしかに道を歩いている。でしょう?

-(saahko)はい。ありがとうございます。もう、温かい言葉のシャワーをいっぱい浴びて、今日、私たちがすごく満たされました。

 (笑)ありがとうございました。そう言っていただいて、こちらこそ、ありがとうございます。

-(けいちゃん)なんか、インタビューに来たのか、カウンセリングされに来たのか、わからなくなってしまいました(泣き笑い)。ほんとうに、癒されました。

 まあ(笑)。そう言っていただいたら、嬉しいです。