トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!vol.6生野照子さん

摂食障害の基本知識 ~ドクターに聞いてみよう!

-(けいちゃん)【ほこほこクラブ】ではないですが、あかりプロジェクトは、回復した人と今、真っ只中の方とが一緒にお話をするという「あかりトーク」というのを開いているんですけれども、回復した人と今苦しんでいる方たちが言葉を交わしていろんな思いを共有するっていうことについてどう思われるでしょうか。

 それはすごく大切だと思います。回復者がリーダーとなって、互いに心開いて分かち合っていく方法って、すごい力になると思いますね。海外で行われている治療でも、回復者の役割が大変信頼されています。例えば私が行っていた英国では、摂食障害専門機関のプライベートな病院とか施設はいっぱいあるんですが、非常に高額。快適な施設で、「うわー、羨ましいなあ」と思うけど、すごく高い。だから、長期治療がやりにくい。短期で集中的な治療をした後は、ほとんどセルフヘルプグループが受け皿になります。薬物依存とかアルコール依存でもそういう感じがあるじゃないですか。セルフヘルプグループを信頼して、グループ力っていうのを重視してるでしょ。それと同じような形。だからそこのリーダーっていうのは専門家が入るんじゃなくって、回復者が多い。回復者リーダーっていうのは信頼されていて、その育成に力を入れているんです。だから、その人たちは研修を受けられるのですが、それをしているのは、いわゆる【摂食障害協会】なんです。そこでリーダーの悩みも聞くし、相談にも乗るし、「グループをどういうふうにしていくか」とかのノウハウも、みんな教えてくれるのです。体験者・回復者リーダーを育てることに力入れて、セミプロみたいに認めている。そのかわり、リーダーになるには例えばイギリスのアソシエーションでは、試験なんかがあるわけ。その試験も2回くらいあってね、それを通らなかったら、まず電話相談をやって「知識とか体験を積みなさい」というステップも用意されてる。あるいは、まずはメール相談係りになって、次に実際のグループに当たるとかね。それから、グループのリーダーは1人じゃなくて2人って決まっている。「1人では、体力・精神力がもたない」ということで。燃え尽きないようにね。…というふうに、ある意味で守られているのよね。管理するのじゃなくて、育成する方向でのシステムがあるわけ。

 だから私は、日本で回復者リーダーが出て来てきたことが、本当に良かったと思う。ただ気をつけるべきは、しんどすぎるっていうか、リーダーの負担が大きすぎる場合もある。とくに日本では過剰に頼られることも多いので、そこをどういう風にマネージメントするかっていうことを考える必要があると思うの。それと、経済的な問題です。なかなか難しい問題はあると思っているんです。

 海外のやり方で参考になるところは色々あります。ただ、日本には日本のやり方っていうのがありますね。海外ではわりと、治ろうという目的意識がはっきりしてるわけ。【治るためには…】みたいなグループが多い。ところが日本はやはり【ほこほこ】的なんですね。お互いに仲間がいて…という【癒しあいの場】ね。それは日本の良さとして、大事に育てていかなきゃと思っているんですよ。だから全部が全部、海外の真似すれば良いということじゃないと思うのね。それなりの日本的なやり方っていうのをみんなで一緒に考えていかないと。ただ、現状のように「あっちで出来た」「つぶれた」みたいなことではね、リーダーさんが挫折するわけ。それは可哀想。一生懸命やってるのに…ね。だから、そういうことも含めて、【協会】という基地が出来れば良いと思って、いま行動を開始しています。

 もう1つ、発症後すぐにやって来られた患者さんは、たいていスティグマが強い。スティグマっていうのは、「卑下する気持ち」っていうか、その病名によって自分の価値を下げるというか、「人にはちょっと隠しておきたい」みたいな気持ちです。「えらい病気になってしまった」「人には言えない」みたいなね、そういうスティグマが摂食障害では、やっぱり、まだ強いんですよ。…で、例えば英国なんかでは、ダイアナ妃が摂食障害。でも堂々と摂食障害学会の設立総会に行かれた。「みなさんしっかり治してください」って演説したから、摂食障害に市民権ができたのです。だから摂食障害になっても、あまり恥ずかしいと思わない。病気になっても…顔を伏せるような気持ちにはならないわけ。でも日本では「こんな病気がバレたら結婚できない」みたいな感じになってしまう。

-(けいちゃん)そうですよね。

 …ね。だけど、そんなのと違う。摂食障害は、病気だものね。でも、その辺りの理解がなかなか難しい。だから、協会っていうのが出来たらね、市民権というか、寄って立つところが出来るじゃないですか。それだけでも安心というか。日本にも糖尿病協会とか成長障害協会とかあるじゃないですか、病気各々の。だから、摂食障害も出来るべきだと思うの。それを作りたいと。そういうところがあるというだけでも、役に立つだろうと。