トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!vol.5渡邊直樹さん

摂食障害の基本知識 ~ドクターに聞いてみよう!

専門性や立場を超えた人間同士のつながりを大切に考えています

-多くの家族会や本人の会は、家族だけとか本人だけとかクローズドな空間が多いと思うんです。私たちもあかりトークというのをしてますが、「親御さんはご遠慮ください」と申し上げていて。それはそれで理由はあるんですけど、先生のところは違うんですね。当事者や親御さんから専門家までが集う広くオープンな形が良い相互作用をもたらすという点をもう少し詳しく聞かせてください。

 そうですね、お母さんだけで来ている人もいるし、お父さんだけで来ている人もいるし、親子で参加している人もいるんですね。親だけの人の場合には、やっぱり自分の考えていることが本当に正しいかどうかと迷った時に、じゃあ自分の娘は今この場にいないけども、参加している娘さんの意見を聞いてみようということがあったりします。親だけの集まりだと本当に娘さんの気持ちが反映されないまま終わってしまうこともある。当事者だけの集まりの場合には、お互いに支えあうことが出来るのはひとつのメリットだけども、親がどんなことを考えているのかとか親以外の人たちがどんなことを考えているのか、ということを知るのが難しくなる。そういう意味でオープンに色んな立場の人に参加してもらうという考えなんです。

-私たちが親御さんにご遠慮いただいてるのは、親御さんに対して云いたいこと、親御さんが子供に対して云いたいこと、でも言ったらお互いに傷ついてしまうようなことを言ってしまって苦しくなることを一番避けたいからです。安心してものを言える空間を作るため。それはそれで一つの手法かなと思うんです。ですが、そういうぶつかるというか、ちょっと傷ついたりということが、もしかして栄養になることもあるんでしょうか。

 私たちの家族会の場合には、親子で来ていて例えば1ヶ月の経過を報告してくれる方がいらっしゃるんです。そうすると最初はもう色々言いあったり刺激しすぎたり、「なんで食べないの」と言ってしまったり。そういうことでかえって逆効果になってしまったなという反省することもありました。喧嘩になってしまったりね。でも、そういう親御さんが、とにかく今大事なことは逃げないで顔と顔を合わせて受け止めてあげることだな、というような報告をしてくれるようになっていくんですね。やっぱり子供さんも、お母さんの支えがあるというのはとても大きな力になるんですね。お母さんの支えがあって、お母さんは自分のことを心配してくれているんだなと思えると、学校にも行かれるようになるし、食事も少しずつ変わっていく。規則正しく食べられるようになったり、そういう変化があったりします。その変化が、とてもうれしいんです。それに、結構ね、周りのお父さんお母さんもみんなで当事者を支えてくれるんですね。いいと思うよ、とか認めてくれるし受け入れてくれる。そういう安心できる場が会として出来てきているので、そこがとってもいいことだと思うんですね。

-立場を超えて関係者がみんなで集おう、というのは始めからそういうスタイルだったんですか?

 いえ、そうではないです。始めからじゃなくて、色々専門家の先生とかから批判はありました。研究者は研究者で話し合いをするべきだ、当事者がいたら話せないこともあるし。とかね。ですが、今までにそういう研究会や学会もありますけど、治療という観点ではそんなに大きな進展がみられてないんですね、今のところ。前は僕自身も薬中心の治療をしていたりとか色々をありましたけど、やっぱり専門性や立場を超えた人との関わりが一番大事なのかな、と治療者としても思うようになってきたわけです。だから、今は家族会が自分にとってもとても大事な場になっています。親、子供、専門家という立場を超えてね、人として気持ちを伝えあうことができる、そういう時間と空間を実現したいなと思ってるんです。その中で、いい影響をお互いに与えることができるのかな、と思ってるんです。