トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!vol.4奥田宏さん

摂食障害の基本知識 ~ドクターに聞いてみよう!

必要なのはテクニックではなく、いかにその人らしさを見つけるかということ

※ ここからインタビュアーはちいちゃんに変わります
-実は先生とは7.8年前に一度、東京で行われていたあるワークショップ、「アサーティブ・トレーニング」の受講者として偶然にもご一緒させていただいたんですよね。あれも患者さんを理解しようと受講なさったのですか。

奥田宏先生  アサーティブネスのグループワークをしようと思ったのですが、それは一回だけに終わってしまいました。今は「内気と不安のグループ」というのをやっているんです。適度な自己表現ができることは内気と不安を克服していく一つの要素ですから、アサーティブネスも取り入れるというか、そういうことが大事だよと言って、本を読んでもらったりしています。いろんな本が出ていますから。

-アサーティブ・トレーニングはいいですよね。人間一人ひとりの平等な権利みたいなものを思い出させてくれます。

 いろんな人に勧めていますよ。鬱の人は自分でため込んで後で爆発したりとか、悩んでいる人がいっぱいいますから、これを読んでみたらと勧めているんです。

-さっきのお話の中で、患者さんが治っていく過程で、自分らしい生き方ができてくると食べ方もうまくいくということをおっしゃっていましたね。どちらかというと、私たちも食べ方をどうするということよりも、この生きづらさをどうしようかとしている中でだんだん回復につながっていったかなと思います。

 テクニックじゃないね。テクニックだとなんか変なふうに工夫して、またこだわったりする。こだわりがひどくなると摂食障害がまたどんどんひどくなるから、テクニックじゃない部分でよくなっていく人が多いです。仕事でうまくいって摂食障害もよくなるとか、とにかく無理をせずに、その人らしさが出るように、やりたいことをやっていただくと、薬を使わなくても自然とよくなるし、食べ吐きも少なくなったり、いつの間にかなくなっていたりとか、そういう人が今のところは多いみたいですね。

-先生もそんな部分を重視されている。

 はい。

-(いづ)食べ方をどうするか、そっちに行ってしまいがちなんですよね。「また今日もやってしまった…。明日からは絶対にやめよう!」とか。私もそうでした。今となったから言えるのかもしれないけれども、本当はそうじゃないのになあと感じることは多いです。

-そういう風に、食べる自分も含めてすべてOKってなって受けいれられるようになることが大切だけれど、その受けいれるというのが難しいんですよ。

 そう。受けいれてほしいけど、こちらがレールを敷こうとすると嫌がられるから、その辺が難しいですね。どうしたらいいのか。アルコールの人なんかでも、回復していく人は「えーっ」と思うように回復します。長く通院されていて、なかなかうまくいかず、しかしAAでいい出合いがあった方など、「私、飲まずにいることができていて、いろんなことができるようになって、いろんな仲間ができて、いろんなところに行って、こうなるとは思ってもいなかった」とおっしゃっている。それまでは、「うちのダンナ、私のことを全然わかってくれない、あんなダンナがいるから」と言っていたのが、ダンナのことを全然言わなくなった。ダンナさんは変わっていないだろうけど、自分がAAでやっていく中でいろいろ気づいて、他県に住む子どもさんのところに行っても、AAの夜のミーティングに出て仲間に会ってきて、自分なりの不安とかをそういうところで吐き出して、自分なりの生き方ができている。今はAAに週に何回も出てお世話をする中で、以前とは違う自分を見つけ出したとおっしゃっています。

-アルコールで回復していく感じと、摂食障害で回復していく感じと、似ていますか。

 大きく言うと似ているかな。

-自分の生き方、自分らしい生き方を見つけていく。

 無理して、人の期待にばっかり目を向けていると、うまくいかないところがあるけど、自分なりのやり方で模索を続けておられる人はなんとか飲まずにやっていられるみたいです。そういうところでは似ているのかなと思います。

-「自分なりの」とか、「受け入れる」というところがキーワードなのかもしれませんね。
 では最後に、未来蝶.netの読者のみなさまにメッセージをいただけますか。

 長く悩んでいらっしゃる人が多いから、独りで苦しんでいらっしゃる人には仲間が必要。でも人間だから、自助グループでうまくいかない場合ももちろんあるわけだけど、自助グループにもいろんな方が来ているし、その中で自分なりのモデルみたいなものを見つけて、あるいは仲間を見つけて回復される人が一人でも多く出てくるのを期待しています。

-(ちい・いづ)ひろ先生、今日は素敵なお話が聞けてとてもうれしかったです。ありがとうございました!