トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!vol.4奥田宏さん

摂食障害の基本知識 ~ドクターに聞いてみよう!

自助活動からたくさんのことを学びました

-患者さんとの合意の元で、一緒に試行錯誤しながら関わっていく。先生の特徴のように思えます。

奥田宏先生  それは自助グループの人たちとの交流が大きかったんじゃないかと思います。彼らがよくなっていくのを聞いて、ああ、そういうふうによくなるんだとか、そこをうまくサポートしていけばいいんだとか、そういうことを教わってきました。
 アルコールに限らず薬物だとか統合失調症だとか、ほかの自助活動の人たちとも少し交流があって、「べてるの家」というのは僕の中では非常に大きいのです。まだ浦河には行ったことはないですが、そのサポートをしている一人の立役者、川村先生とは学会で一緒になって、金沢にも来てもらいましたし、中心メンバーの早坂潔さんも金沢に来てもらったことがあります。
 彼らのビデオや本を、患者さんたちには「いい本などがあるから読んでみてください」と勧めています。すごく受けいれてくれる人もいれば、こんなのもあるかなというぐらいの人もいますが、それは仕方がないことです。比較的新しい本で『安心して絶望できる人生』というのが出ていますが、患者さんの中には「何、これ! 安心して絶望できるって、どういうことなの?」ってびっくりされた人もいます。患者さんには人間アレルギー症候群の人が多いです。人の評価を気にして、人の目を気にしていつも生きている。摂食障害の人もそういう面が大きいかもしれませんが、彼らはそういうことも自らそのメカニズムを研究して、検討して、そこからの生き方を模索しておられるので、そこをいろんな方に読んでほしいと思って、折に触れて読むことを勧めています。

-自助活動に対しての理解みたいなものが、少しずつ医師の方々の間でも浸透してきているような印象があります。

 私たちは結局病気を治せないわけだけれども、やっぱり自助グループに力があるというか、そこで回復されている人たちがいっぱいいて、みんな助け合って生活している。そこにすばらしさを感じます。私たちができないことをみんなでつくり上げていらっしゃる。そういうのをたくさん見てきて、やりようによってはそういう場をつくって支え合うと、やっていけるんだと実感しました。それをアメリカでも見てきたし、日本でもいろんなところにそんな活動があることがわかりました。
 医学教育は病気の経過についてもある程度わかっている範囲では教育をしてくれるわけですが、回復のプロセスはわからない部分がたくさんあるのです。統合失調症でもどうやって回復していくのかとか、そんなことは余り教科書には書いてありません。アルコール依存症は全く書いてないし、摂食障害なんか書いてないよね。

-アルコール依存症も書いてないんですか!

 書いてない。ただ、断酒率が何パーセントだとか断酒会とかAAがあるとか、そのぐらいしか書いてない。医者の中には、刑務所に入れておけだとか、施設に入れておけだとか、そういうことを言う人もいらっしゃる。けれど、教科書に書いていないことは、自助グループに行って見てきて、聞くことでわかるわけです。 生活上の工夫あるいは支え合いで、問題はありつつも以前よりはいい生活をしていく、そういう考え方を教わってきました。
 自助グループがすべていいかというと、「べてる」でも言っているように、問題はいっぱいあるけど、何とかみんなで支え合いながらやっているというところで教えられることは多いし、そういうところに目を向けてほしいということをほかの医療者にも言ってはいるけど、残念ながらまだそんなに広まってはいないですね。「べてる」なんか全国的に有名になって、少しずつ関心を持たれる方は増えてきているとは思いますけど、自助グループに積極的に行って活動を参考にしていらっしゃる方は、まだそんなに多くはないんじゃないか。

-そうなんですね…。だからこそ、奥田先生のような医師の存在は本当にうれしいんです。

 だれも教えてはくれないし、わからないけれど、行ったら学ばせてもらえるわけです。まずは知識として自分の中に入ってきて、知識はすぐに患者さんに伝えることができるわけです。どうやって回復していくのかが非常に大事なことで、そういう情報があることを伝える。それはすぐできるわけです。そういうサポートをするのが非常に大事だと思っています。