トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!vol.3竹村道夫さん

摂食障害の基本知識 ~ドクターに聞いてみよう!

まずはご本人やご家族の助かりたいという気持ちと手を組みます

-なるほど…原因をひとくくりにできないのは、症状自体が多様だからということもあるのですね…。
この病院での治療方法や治療方針はどのようなものですか。

 強制入院はほとんどなく、ご本人の希望を重視した任意入院が原則です。

 摂食障害が重症であったり、あるいは摂食障害だけでなくいろんな問題が併発している場合、自分が助かりたいと思っているのか死にたいと思っているのかよく分からなくなっている方がおられます。助かりたいのだけれど、もう無理だと絶望的になっていたり、よくわからなくなっていたり。

 ですから、まずは助かりたいと思う気持ちと手を組んで、治療したいというご本人のモチベーションを引き出すことからです。そういった意味で、任意入院が原則なのですね。そして、危険な方向へ走らないように予防していくことから始める。あたたかく迎えて、治療スタッフとの信頼感を確立するという、治療の前の準備を重視しています。その上で、治療プログラムに入ります。治療への希望をまだ持てない方や自傷行為が頻繁にある方に対して無理やり治療に持ち込んでも、なかなかうまくいかないですから。

 ここには、摂食障害の中でも精神的な面で重症な方、言ってみれば危なっかしい方が主にいらっしゃいますから、安全な場所・空間を確保するのがすごく大切なことになってきます。家庭で居場所が無い方、これまでにトラウマを体験している方、医療機関で薬漬けになっている方へ安全な場所を確保して、ちゃんと治療すれば良くなるという事を体験的に知って頂くことが大切だと思います。

―助かりたいほうの気持ちと手をつないで、少しずつ信頼関係や安心感を築いていかれるのですね。実際の治療プログラムはどのようなものでしょうか。

 治療プログラムは、認知・行動療法、個人精神療法、そして特にここで重視しているのは集団精神療法、教育的なプログラム、自助グループなどです。基本的には嗜癖に関するプログラムに沿った治療です。それから、先ほども触れましたが家族療法に重点をおいているのがここの特徴です。家族全員を治療するという視点ですね。ご本人よりもご家族の方の治療がしやすそうであれば、ご家族を先に治療したり、あるいは並行して治療したりと、治療しやすいところから始めます。

 薬物療法や栄養管理はしない訳ではありませんが、重点ではありません。ですから、拒食や痩せが主たる症状で身体的な治療が必要な方の生命維持などはあまり得意ではありませんので、身体的治療を中心とした病院に紹介することもあります。ここで診ているのはほとんどが過食の方です。