トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!vol.2香山雪彦さん

摂食障害の基本知識 ~ドクターに聞いてみよう!

摂食障害は、逃げているんじゃない、生きるためにもがいているんです

―社会参加についてのお考えもお聞かせいただけますか。

香山雪彦先生 難しいですね。僕がすごく深く関わった人たちというのは医学部の学生だったり、看護学部の学生だった人が多くて、そういう人たちは国家試験を通るとうんと楽になるんですよ。医師でも看護師でも働きたいと思ったらいつでも働ける場所があるので。苦しくなってやめても、またしばらくして働くようになったらちゃんとその場所がある。それはものすごく恵まれてるんですよ。だから社会参加という面でいうと、その人たちは何とか卒業まで持っていければよかった。
 しかし、それ以外のいろんな立場の人たちもよく知ってるわけで、その人たちを見ていると、一旦継続して働けるようになると、なにしろ一生懸命ですし感受性も高いし、だから必ず認めてもらえるんですよ。認めてもらえない働き方しかできないときは、まだ時期が来ていないだけ。その時はもうちょっと時期を待たないとしょうがないかなと思うけど、いずれ必ず認めてもらえると思うんですよ。社会システムがそこまで整っているか、特に今はこの格差社会でそこまで経済的な背景が得られるかどうかは難しいけども、それでもそうやって正社員になった人を何人も知ってますからね。デニーズで働きだして店長になったとか。最初はもちろん短時間のアルバイトで、意地もあってね、そこで頑張って正社員になり、研修を受けて店長に。そこまで頑張らなくてもいいのにと思うくらいだけれど。店長になったらなったで苦しいんですよ、人間関係なんかがあって。「ヒラに戻してもらったら?」と言ったのだけど、ちょっとしばらく休ませてもらってまた店長に戻ったそうです。だから、働く場所さえ得られればとは思いますよね。

―もし認められない働き方をしているのだったら、時期が来ていないんだっていう言葉は、すっごく救われる人が多いと思います。

 摂食障害は、もがいているんですね。逃げているわけじゃない。あるメディア関係にいた人で、一生懸命に摂食障害や性に関して講演活動をしている人がいるのですが、その人の本に「逃げずに○○しましょう」みたいなことがあったから、僕は「それは違うでしょう。逃げてるのではなく、必死に闘っているのですよ。」と言ったことがある。僕は、逃げているんじゃない、生きるためにもがいている症状なんだということを知ってほしいと、僕の本を送りました。そうしたら、「本当にそのとおりですね」と返ってきました。

―食べ過ぎることも、食べないことも、経験したことのない方からはどうしても逃げているという風に見られがちで、私もとても悔しい思いをすることが度々あります。そして、一番には、本人が自分で自分を「逃げている」と責めることがまた、苦しみを倍増させている面があると思うんですよね。逃げているわけでは決してない、その逆なんだとおっしゃってくださる先生の存在、とても心強いです。
 今日は、先生の軌跡やお考えをたくさんお聞きできて、うれしかったです。ありがとうございました。

福島お達者くらぶさんのホームページ
http://www.ipc.fukushima-u.ac.jp/~e100/index.htm
(本人や家族へのメッセージが、とても充実していておすすめです。私自身、苦しい最中にこういったメッセージに出会っていれば、苦しみがだいぶん楽だったのではないだろうかと感じます。よろしければ一度お読みくださいね。 いづ)