トップ >> 治療に関する情報 >> 摂食障害の基本知識 ドクターに聞いてみよう!vol.1大河原昌夫さん

摂食障害の基本知識 ~ドクターに聞いてみよう!

きっかけが来たら、自分で気が付いてそのチャンスをつかんでほしい

だけど僕は本人に一人一人聞いてみたいです、「どうして治ったの」と。僕は本人じゃないからわからない。かかわってきてもわからない。治療者ってそういうものじゃないかと思う。相手の家族のことは知った、本人の性格も知った。でも、どうしてよくなったかは、僕にはわからない。それが僕の正直な印象です。

―それはずっと診てきているから、逆にわからないところもあるんですかね。

そうかもしれないけど、わからない。しょせんそこがブラックボックスなのかもしれないけど、わかんないですね。アルコールなんかも、ふとしたきっかけで酒をやめていくんです。こっちが「あれっ」と思ったようなきっかけでやめていくんです。3回目の入院であれだけ飲んだくれていたのに、4回目の入院で急にやめるのかと思うぐらい、急にやめちゃうんです。

―タイミングというか、先生は症状が出始めたときから回復だと書いていらっしゃいますが、蓄積があって、見えないラインをひゅっと越えたときにパッと治るんですかね。

アルコールもそうだけど、「もうこの症状は嫌だ」と思うときがあるみたいです。「ああ、もう嫌だ」、それがチャンスです。それは大事ですね。そこをつかまないと、「そうか、今、本当に自分の症状が嫌なんだな、もう病気は嫌なんだな」という感覚をつかまないと難しいんじゃないんですかね。繰り返しですが、症状に意味があった、でもやっぱり嫌だということがないと、難しくないですかね。

―私も自分のことがわからないです。後から考えても説明できない。

村田さんは一人でよくなったんですか。

―私はずっと家を出て転々としながら15、16年間泥沼で、最後に実家に帰ったんです。しばらく引きこもっていたんですが、「外に出たい」と思う瞬間があった。それも蓄積じゃないかな。うまく説明できないですが。

目に見えない蓄積という意味ですね、ランダムな。

―ただ、一つはっきりしているのは、孤独は恥ずかしいこと、コミュニケーションが下手なこととかは恥ずかしいことだと思っていたんです。価値がない人間と思っていたのが、孤独な自分もOKだとか、深いところのコンプレックスは、それでいいんだと思えるようになって、そういう大きな変化がありました。

わかるなー。自分の持っている肯定的なものに気がつかないと、だめなんでしょうね。そういう意味できっかけは何でもいいんだけど、自分で気づかないと難しい。きっかけは何でもいいんだけど、きっかけが来たときに気がつかないとだめですね。