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体験談 ~Vol.8 福多唯さん

日常は「こんなときどうすればいいの?」の連続

 今まで自分が善しとしてきたことやこれしかないって思ってきたことが、実は自分自身の考えではなくて植え付けや刷り込みだったのか…、と見えちゃったら、もう、そういうものはとりあえず、一旦全部要らなくなります。ただ、すぐに次の課題に直面しました。 

 というのは、これまでの価値観を手放すことが出来たとしても、新たな価値観や行動の仕方を知らないと、日常は「こんなときどうすればいいの?」の連続で、まごまごしちゃうの。それで新たなものを体験を通して学ぶ必要性を感じて、気になったことについては本を読むだけではなく講座等に足を運び、そこで様々な新たな行動の選択肢に出会いました。

 今でも「ああ、私またこういう考え方をしている」とか「こういうふうに人のことを見そうになっている」と気付くことはありますし、イライラカリカリすることもあります。でも、今はそういうときの対処を、いくつかの選択肢から選べるようになったので大丈夫です。あの頃のあの切羽詰まった煮えたぎるものがグワ〜ッとくるような(苦笑)、ああいう身体に悪い感じ(笑)のしんどさはないですね。

 特に、フォーカシングやWen-Doは『それは身体にどのように感じられるか』との視点で、危険か安全かを非常にクリアにしてくれて、私にとっては私をヘルシーで安全な人生に近づけてくれる指針なんです。「No Wen-Do, No life.」です(笑)。

 おかげで、激情や衝動や罪悪感に翻弄される感じは、今はありません。

「で、福多さん自身は、今、元気? 幸せなの?」

 夫のような人と共に過ごしてきたということと、同じ立場の人ととことん話し尽くした体験、病院での服薬を含めたシンプルな治療、プラス私自身の『新たな方法を習得するための行動』。私の場合は、振り返ってみると、そういう実直なことの積み重なりが私をここまでにつなげてくれたなって感じます。

 先日、ある人に会ったんです。その人は、私が私の辛さから目を背けて空威張りでブイブイ言わせてた頃(笑)に「で、福多さん自身は、今、元気? 幸せなの?」と尋ねてくれた人です。私、あのとき、その人のその問いに『元気です。幸せです』って答えられなかったの。『幸せよ。決まってるでしょ』と言えば簡単なことなのに、言わせてなるものか!っていう何かが私の中に居て、言葉に詰まっちゃって。そのことがショックで、ガーンとやられた気分でした。

 その人に先日ある場所で同席出来て、私のほうから、『私、今はほんとうに元気で、幸せです』と声をかけに行きました。そうしたらそのかたも、以前私に質問をしてくださったときのことをよく覚えているとおっしゃってくださって、「そう。良かった〜!」と喜んでくださいました。

 私は幸せになっていいと思えて、私は幸せですと言える自分になれて、しかも幸せになっても妬まずに喜んでもらえて。なんかすごいなぁって。人生ってすごいなぁって思います。

(2011/8/24 取材・文 安本ちひろ)

※平成23年度あかりグループワークvol.3は福多唯さんを講師にお招きしてWEN-DO体験を行ないます。暴力から、私の力で私をまもるための女性専用護身プログラムを体験し、心と身体に秘められた力と出会います。詳細はこちら(あかりプロジェクトブログです)からご覧ください。

プロフィール/発症からいままで

福多唯さん

唯さん 群馬県出身、石川県金沢市在住。児童期から青年期にかけて持病による長期入院、不登校と留年、依存症などを経験。結婚後、双子育児の辛さから、依存的な生き方からの脱却と暴力・虐待防止などに関心を持つようになる。自分自身の攻撃性や暴力性に取り組む中で、「女性のためのセルフディフェンス Wen-Do(ウェンドウ)」に出会う。現在は日本でのWen-Doの第一人者(日本での講師養成責任者/講習インストラクター)として活躍中。あかりプロジェクトではコーディネーター。グループワークやリカバリーフレンド養成講座の講師等を担当してくださっている。