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体験談 ~Vol.8 福多唯さん

双子育児で
「自分の根っこからどうにかしないと…」と思った

 妊娠は結婚後に割と早い段階でわかり、双胎(双子)だと分かるのも早かったです。その時点で、「とにかく大事にして、そして体重コントロールは普通の人以上に気をつけてね」と周りから言われていました。

 そういうこと言われると、私達って燃えるじゃないですか(笑)。

 それで食事や体重を厳密にコントロールして臨月まで持たせて、10ヶ月後の出産当日は双子なのに7.2キロ増という、今思うと驚異的な妊婦生活を送ってたんですが、あの頃は、「私はそれができる人間だ」っていうことで自分を支えてたんですねぇ…。

 だけど、産んだら悲惨なの。子どもはコントロールがきかないでしょ。赤ちゃんは、いつ泣くとか、いつご機嫌になるとか、いつ不快感を示すとかわからない。でも関わらないわけにはいかない。しかも双子。それで私の限界を超えちゃって、育児に対して非常に追い詰められた気持ちになってました。子どもって本当に面倒くさいとしか思えなくなって、「私、このままだとかなりヤバい」って。

 それに、その辛さは、子育てでの負担だけではなくて、摂食障害だったこととか、周りと自分が何か違うんじゃないかと感じていたこととか、自分の深いところと関連があるのだろうと、なんとなくわかっていました。だから、夫は一緒に育児も家事もしていたんだけど、それだけじゃ私の場合は足りなかったのと、周りの手助けがどうこうというよりも、「一刻も早く、自分の根っこからどうにかしないと…」という気持ちでいっぱいでした。

身体だけでも楽に子育てをしたいと、通院先を探す

 何からどうしたらいいのかはわからなかったのが正直なところですが、結果として、本はけっこう読んでいたかも。読書なら育児中の細切れの時間でもできたから。ちょうど当時、アダルトチルドレンとか機能不全家族とかいう言葉が書籍を通して社会に広まり、話題にのぼっていた時期だったんです。

 で、色々読んで、自分の課題が沢山あることが見えてきて…。

 私は、幼少期からずっと喘息なのですが、その頃調子がすごく悪くて育児も日常生活も辛かったんです。ですから、喘息だけでも治まればもっと身体的に楽に子育てできるんじゃないかと考えました。独身時代は、不調になってから病院に駆け込んで点滴を打って…と対処療法的にしのいでいたのですが、もう、それじゃダメだと。

 それで、喘息の治療ができて、私のメンタル面も診てわかってくれて、私はもう一つ持病があるんですけど、その病気も一緒に診てくれる病院を探しました。双子を連れてあちこちに通院することは出来なかったので、一カ所で済ませたかったんです。石川県には実は喘息治療で全国的に有名な病院があるのですが、私の場合は、その病院でも喘息は良くならなくて。それも問題の根に取り組まなくてはダメなんだ、と私に思わせた要因のひとつです。

 そうやってやっと見つけた病院で、自分の全ての持病とからめながら今現在の精神的な辛さも話すことができて、メンタル面用の、怒りの衝動とか過剰な食欲がわかなくなるという薬を出してもらうようになりました。

イライラカリカリしていた自分を心底から「大変だな」と思った

 「緩やかに効いてくるから最初はそんな劇的な変化はないので、2週間~3週間は飲み続けてくださいね」って言われて薬を飲んでいたんですが…。ある日、掃除機をかけながら、なんと自分が鼻歌を歌っていることに気付いてしまった!(笑)

 これまでの私の世界観では、鼻歌を歌うとか踊るとかっていうのは、そうしたほうが効果的だと計算づくでする(笑)か、または「『何も考えずにやりたいことをポンと出来る気楽な人たち』が考えずにすること」なわけです。「ナチュラルに鼻歌を歌う私なんて、そんなの私じゃない!」って、仰天ですよ。

 でも同時にそのときに、「でも…そういえば、ここ数日間なんとなく神経がカリカリ波立たなくて、ちょっと穏やかな状態が続いているな」と思ったの。

 私は私を、イライラカリカリした人間だと、それまでずっと思ってたんです。それが自分の性格なのだと。でも、鼻歌を歌ってイライラカリカリしない自分になってみると、「もしかして健全な私の状態っていうのは、今のこの状態なのかも?!」って気がしたんです。そしたら、かつての、常にイライラカリカリしていた自分のことを、「わぁ、すごい大変だったなぁ」って心底思えて、自分で自分に思いやりを持てるようになりました。

 私もこんな風に穏やかでフラットになれるのだという体験をきっかけに、じゃあ、いかにして自分がイライラカリカリしないで居られるようにすればいいのかを毎日の中で考えて行動すればいいのかも…、って思えてきて。それからは、自分に負担をかけないようにすることを念頭に置くようになっていきました。自分にムチを打つような生活にどっぷりだったわけですから、あれは大きな転機のひとつでした。

 そこにはしばらく通院しました。それまでも、私は依存症の治療のために心療内科や精神科に行ったことはあったんですけど、このときの主治医は一番私にとって良かったです。あっさりしていて、余分なことを言わない先生でした。

 行くと、「この一週間はどうでしたか?」と聞いてくれて、こちらが話すと、「そうですか。」って言ってカルテに書いて、「他には何かありましたか?」みたいな感じ。

 アドバイスとかコメントとか、滅多にしないんです。でも、すごく肝心な場面では、「なるほど。そのお気持ちはわかるような気がします」って気持ちを受け止めてくれたりして。