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体験談 ~Vol.4 saahkoさん

自分の内面と向き合った日々…
すべては、いまの自分に繋がっている

回復に向かう「3つのkey word」

saahkoさん 摂食障害に至る原因は、一言で言い表せられるものではなくて、幼い頃の家庭環境や、いじめられた経験、真面目すぎる性格などが絡み合って、摂食障害へと至ったのだと思います。

 そして、真っ暗闇の中にいながらも「摂食を治そう!」と歩き始めた頃、「なぜ私はこんなにも生きづらくなってしまったのか??」を考えた際にそれまでの私は自分の気持ちに対し、ウソをついて生きてきたということに気がつきました。そして、過去を悔やんだり、だからこそ未来を悲観したり、そんな今の自分に絶望したり…。そういったことが見えてきたので、これからは、
 ♪自分の気持ちに素直になって、♪自分を信じて、♪今を生きよう
と、心に決め、これを『自分らしく生きるための指針~3つのkey word~』として、自分の中で持ち続け、実践してきました。

 例えば…、「私は太ってるから、○○出来ない」と思っている。だけど、「本当はやってみたい」というのが自分の素直な気持ち。「じゃあ、その思いを信じて、実際にやってみよう!」…というような感じで、自分の“思い”をひとつひとつ“行動”に移してきました。「自分自身の思い込みや、自分で自分に設定した限界を解いていく」、そのひとつひとつのステップが、私にとっての摂食を治す過程そのものでした。

 治す過程(「自分の人生を生きる」において)は、自分に勝つ・負ける、というイメージではなく、自分自身の心の中で起こっていた“対立”を、ひとつひとつ“統合”してきたような感覚です。(例えば「食べたかったらたべてもいいよ」とか、「やせたい気持ちもわかるけど、生きる上では食べる事は大切な事なんだよ。だから食べていいんだよ。」というような感じ。)

 なので、私の中で「摂食障害が治った」のは、「弱い自分に私が勝ったから治った」のではなく、「いろんな思いや感情を抱いている私を、自分自身に繋げ、統合してきたから治った」のだと認識しています。

 治っていく過程の様子ですが、決して直線的に治ってきた訳ではなく、自分の目の前にそびえ立つ大きな壁に対し、階段となるステップをひとつひとつ積み重ねては、登り、積み重ねては登り…を繰り返すような感じで「もうこれで大丈夫!」と思っても、何度も何度も過食の波にのまれ、その度にひどく落ち込み、そこからまた自分を見つめ直し、歩き出す、という作業を繰り返してきました。(ホンの一部ですが、当時のノートも掲載しています →my spirit note

摂食障害になる前と今

 “摂食障害になる前”と“回復する前”、そして“回復後から今”とでは、「生きる」姿勢が変わりました。

 摂食障害になる前は、自分自身に目標があるわけでもなく、ただ訳もわからず、目の前の現実に対し必死で生きていました。(優等生な自分でした。)

 摂食障害のまっただ中は、その「目の前の何に対してもがんばる自分」の糸が切れ、無気力・無感動になり、ただ「やせることのため」に毎日を生きていたように思います。

 摂食障害を治す過程を経た後(摂食後)は、自分の中にある“思い”から、“行動”に移せる自分になりました。今の私には、自分の意志で自分の人生を選び取り、自分の足で歩いている~生きている~という感覚があります。

摂食障害があったからこそ…

 これは治す過程を経てきてわかった事なのですが、摂食障害を抱えていた頃の私は、摂食障害があったからこそ、外側(現実)の世界から受けるストレスから自分自身を守っていたんだな、ということに気がつきました。(自分の中で、常に「やせる/太る」「食べる/食べない」ということで悩んでいたので、外側から受ける問題~例えば彼氏の事だったり友達関係の事だったり~について、悩まなくて済んでいました。自分の本当の感情と向き合わなくて済んでいました。)

 そして、私の人生に摂食障害という問題が起こったからこそ、 「何のために生まれてきたのか?」「何のために生きるのか?」 という自分自身への問いに対し、その答えを真剣に追い求め、探してきたように思います。だからこそ「生きる」ということについての“本質”に気づく事ができたのだと思っています。なので、私にとって摂食障害は、大切な事に気づくために、私自身に落ちてきた隕石のようなものだと思っています。

 だから「摂食障害で失ったことは何?」と言われても思いつかないのですが、「得たこと」はと言うと…、 摂食障害を経験し、治す過程を体験してきたからこそ「今の自分」に繋がってきたそのすべてです。上手く言葉で表現できないけれど、すべての経験・体験は、今の自分に繋がっているんだなって思っています。

最後に

 摂食障害を治そうと歩きはじめた頃の私は、誰とも何とも繋がっていなくて、「自分はどこへ向かいたいのか?」「今の自分はどこにいるのか?」それさえもわからない状態だったのだけれども、ひとつひとつ自分の心の声に耳を傾け、自分の本当の気持ちを知り、その思いを信じ、ひとつひとつ行動に移してくる事で、少しずつ少しずつ道が繋がり、広がってきました。

 今、真っ暗闇の中をたったひとりで生きている感じを持っておられる方にも、きっと、あなただけの、あなただからこその道がある、と、私は信じています。

 どうか、自分自身の心に素直になって、その思いを信じて、今という時を生きていって欲しいなと思います。

(2009/7/11 取材・文 あかりメンバー桂けい子)

プロフィール/発症から回復まで

saahko(36歳)

saahkoさん  高校受験を終えた頃、ぽっちゃりし始めた自分に対し“このままではいけない!”と思い、ダイエットをはじめたのがきっかけで発症(当時、15歳の高校1年生)。はじめの頃は1日約500kcalと、ほとんど食事を摂らなかったが、数ヵ月後に吐かない過食へと移行。自分の意志に関係なく、一旦食べ始めると止まらず、「やせること」以外は全てにおいて、無気力・無感動になっていた。自分の未来に意識を向けた時に“これは一体、いつまで続くのか?……もしかして……ずっと?”と、出口の見えない真っ暗闇の中に自分だけが、ただ独りいるような、孤独感と絶望感を感じていた。常にダイエットをしている状態(常に食べることを禁じている状態)だったため、「食べたい」欲求を、お菓子作りをする事で満たしていた。
 高校卒業後、製菓の専門学校→姉妹校の栄養士校へと進むが、頭の中は常に「食べる/食べない」「やせる/太る」といった事でいっぱいであるが上に、学校で習う授業は食物関係の事ばかりだったので“このままでは私はつぶれてしまう!”と思い、栄養士の専門学校2年過程のところを1年で中退。そこから、“摂食障害を治そう!”と、アルバイト等をしながら『自分らしく生きる道』を模索・探求し始め、23歳ごろに回復する。
 今は2児の母であるが、“私にしかできない事・私にだからこそ出来る事がきっとあるはず!”という思いから、インターネット上の摂食障害の方達の集う掲示板(『こころの問題を考える会』)に書き込みを始めたり、自分のホームページ(『雨でも晴れでも』)を開くなど、独自の活動を展開。2008年11月に日本摂食障害ネットワークの主催する「摂食障害フェスティバル」に参加した際に、あかりプロジェクト発起人、村田いづ実さんと出逢い、今現在は、あかりプロジェクト発起人メンバーの一人として活動している。